医学の発展により、小児がんの治癒率は高まり、多くの小児がん経験者が社会に出て活躍できるようになった。しかし、小児がんの治療は半年以上の入院、さらには定期的な外来治療が必要であり、治療期間を通じて心身の苦痛が大きく、普通の幼児、普通の学童としての生活が出来ない期間が長期に渡る現状があります。また、「がん」という言葉のマイナスイメージにより、子ども自身にすべてを伝えることを保護者が躊躇することも少なくありません。そのような中で、小児がんの子どもが治療や療養生活に主体的に向かうことを支援することを目的に研究を続けてきました。 現在は、「小児がん患児のためのモバイル機器を用いた身体活動促進・継続プログラムの開発(基盤B,16H05590)」に取り組んでいます。
医療の発展により、小児慢性疾患(小児がん、小児循環器疾患など)の救命率が上がり、限られた施設で手術や治療が行われていた時代から、地域の病院でも慢性疾患の子どもの看護が必要となっています。一方で、病院管理の中で今なお看護師の部署移動は多く行われ、また子どもと関わった経験が少ない看護師が多い現状があります。さらに、看護師は医師と異なり施設を超えた横のつながりが少なく、臨床看護師がタイムリーに情報交換をしにくいことも、経験知が共有されにくい一因となっています。現在は、千葉小児がん看護勉強会を定期的に開催し、臨床看護師の関係性を構築するのを支援すると共に、「循環器疾患の子どもにかかわる看護師のための教育支援システム構築に向けた基礎的研究(基盤C, 16K12157)」に参画しています。
学士課程教育における質的転換が求められている中で、教育効果が高い教授方法の検討や、教員と学生が共有できる評価方法の導入を行うなど、教育に関連する研究も行っています。特に看護学実習での学生指導においては様々な問題があり、教員が困難を感じる場面も多くあります。現在は、「看護系大学の臨地実習における合理的配慮の構造化とFD・SDプログラムの構築(挑戦的萌芽,16K15888 )」に参画しています。
①小児がんの子どもと家族の主体性に関わる研究
②小児慢性疾患看護に携わる看護師の専門性と教育的支援に関する研究
③看護基礎教育に関する研究
私は、主に病気や障がいなど慢性的な症状(先天性・後天性問わず)を抱える子どもたちが成長していく過程(特に学校や社会へと進出して行く過程)において、必要な健康管理に対する支援のあり方を模索しています。子ども時代も、成長して大人になってからも「自分らしく」生活していくために、自分自身の健康状態を保つにどのようなことを心がける必要があるのか、またどのようなサポートが必要なのかを共に考えていきたいと思います。